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獣医師が経験したペット・ロスと乗り越えるための5ステップ(後編)

前編が長くなったので後編はこちらです。

 

4.ペット・ロスになった時はどうする?

話しは僕自身がペットロスになった事に戻ります。

その話しは、ブログのこちらにも書きました。

 

当時、とにかく毎日悲しくて悲しくて、なんでおれはもっと一緒にいられなかったのかとか思っていました。

で、自分自身獣医師という専門家としてペットロスの事も知っていたので調べました。調べて調べて出した結論は、「日本には、ペットロスの専門家はいない!」という事です。

獣医師の診察対象は、動物であり、ペットロスは飼い主がなる物だから人の医者(精神科医やカウンセラー)が専門家になりうるのですが、ペットロスという動物を飼った事のない人から見ると奇異な病気の専門家は日本にはほとんどいませんでした。

そこで、英語で色々調べていったところ、やっといくつかの情報を得る事が出来ました。

 

考え方的には大切な人を失ったときのケア(グリーフケア)と近いです。

 

 

※グリーフのプロセス(日本グリーフケア協会より抜粋)

①ショック期(恋慕・想起)

②喪失期(疎外感)

③閉じこもり期(鬱的不調)

④再生期(癒し)

 

このプロセスを乗り越えるのに僕が自分自身に使って良かったと思う5ステップをご紹介します。英語のサイトから引っ張ってきました。興味のある方はご覧下さい。

 

 

Step1.とにかく悲しむ

ここでのポイントは、”思考”で自分を責めたりするのではなく、ただ”感情”のままに自分の悲しみを悲しむ事。誰がなんと言おうと自分は悲しいんだから、その悲しみに浸る事が大事です。僕も一時期ひたすら泣きまくっていました。

自分の愛したペットが亡くなっても、否応なく現実の日々は襲ってきます。一般の会社では、翌日会社を休む事も難しいでしょうし、悲しい顔をして人にその理由を告げても「気にしないで」とか「元気出しなよ」とか、ひどい時には「動物が亡くなったくらいでそんな悲しまないの」とか言われたりしてしまいます。

そして、あなた自身もお酒を飲む事や日々忙しく過ごす事でこの悲しみを忘れようとするかもしれません。

でも、どんなにその悲しみから目を背けようとしてもその悲しみは消えてなくなる事はありません。その悲しみを直視し「あ〜自分はめっっちゃくちゃ悲しいんだな」と感じる事でいつかその悲しみも癒えます。

 

★エクササイズ(ペットロスを今まさに経験されている方へ)

この文章を読んでどんな感情がわいてきましたか?怒りとか悲しみとか絶望でしょうか?

その感情と共にいてみて下さい。そして、できれば今わいてきた想いを文章にしたためましょう。もしそれが難しければ、自分が泣く事をゆるしてあげましょう。

僕がブログを書いたのは今思うとこのステップのためでした。

 

 

Step2.悲しみを癒す事・自分が変わっていく事を決める

 

これはとても難しい事です。

多くの人が思っている事ですが、グリーフは”悲しみを乗り越える事”ではありません。そしてもちろん、病気を治す事でもありません。

(ちょっと英語表現ですが)グリーフは、ぐつぐついっているシチューのような物です。時が経てば、風味や過去の記憶が現在と混ざり合います。そしてあなたの経験により、シチューはより味わい深くなります。だから、悲しみや怒りを統合し流れる涙を受け入れ、日々の生活に心を開き、自分にとって大事な物を大切にして下さい。

愛するペットが亡くなった事で生活は変わりました。どうやってこの変化に対応しますか?

 

★エクササイズ(ペットロスを今まさに経験されている方へ)

静かな場所を見つけて座って下さい。自分を癒すと決める事はどんな感じですか?

愛するペットが亡くなってから生活はどのように変わりましたか?

思いつく事を文章にしてみて下さい。

 

Step3.想い出を思い出す

 

悲しみが深すぎる時、私たちは自分自身のアイデンティティーと悲しみを混同してしまいがちです。ペットを愛する者として私たちは悲しみに包まれてしまうかもしれません。この悲しみは同じ経験をした人にしか完全にはわかりません。そしてあまりに悲しくて「私はいま、愛するペットを失って本当につらい。絶対この悲しみはいえない」と感じているかもしれません。

でも、この悲しみや痛みと共にこれからの人生の旅路を決めるのはあなたです。そしてそれはたった一人で何かをしなければいけないわけではありません。

 

★エクササイズ(ペットロスを今まさに経験されている方へ)

悲しみと同一視してしまった自分のアイデンティティーを手放すとすると、どんな人生の旅路になりそうですか?そのためには、悲しみや悲劇の想い出ではなく、愛するペットとの幸せな瞬間を思い出してみませんか?

・どうやってあなたはその子と出会ったのでしょうか?

・あなたがその子を選んだのですか?それともその子があなたを選んだのでしょうか?

・一緒に過ごした初めての日を覚えていますか?

・一緒に遊んだ大好きな遊びは何でしたか?

・一番笑っちゃった瞬間は?

※僕はこれをひたすら愛犬への手紙として書きました。書きながらめーーちゃ泣けてくるんだけど、ああ僕の人生でももがどれだけ大切な存在でどれだけ人生を豊かにしてくれてたかって事に気づけました。

他にも、愛犬の写真を整理して動画を作るのもかなりオススメです。

 

 

Step4.自分の深い悲しみに正直になり表現してみる

 

必ずしも大げさに表現する必要はないのですが、深い悲しみを表現する時、人によっては大声で泣くかもしれません。枕を殴りつけるかもしれません。人から見たら錯乱しているような状態になるかもしれません。

それでも、一時自分の深い悲しみに身を任せ身体でそれを表現する事もとても重要な事です。

社会で生きていると、「強くあれ」とか「悲しみを乗り越える」とか「忙しくしてれば忘れられるよ」とか言われますが本当でしょうか?僕も経験的にこのようなアドバイスは糞の役にも立たないと思っています。

 

★エクササイズ(ペットロスを今まさに経験されている方へ)

・自分の中に強い感情や感覚がありますか?

・それを放出するとしたらどんな感じですか?

・自分にその放出をする許しを出せますか?

 

Step5.サポートを求める

ここまで読んで近道はない事に気づいたかと思います。

どうやってこの深い悲しみを癒し、自分の中に平和をもたらしますか?

周りの人にサポートを求めましょう!一人でやる必要はありません。

他者を自分の人生の中の大切な部分に近づく事をゆるしましょう。

周りに相談出来る人がいない場合は、僕にご連絡ください。

 

大好きなペットをなくされた方、本当にしんどいと思います。

僕ももう同じ気持ちがわかるとは言えません。

ただ、少なくとも天に召された皆さんのペットはいつもあなたを見守ってくれていると僕は信じています。

 

大切な人が側にいる幸せをかみしめて。