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『リーダーは自然体』(増田 弥生 金井 壽宏 )を読んで

『リーダーは自然体』(増田 弥生 金井 壽宏 )読みました。めっちゃ面白かった。

僕はプライベートでも仕事でも全ての人がリーダーシップを発揮するのが理想だと思っているので、興味深く読みました。

 

読んだ感想としては、今僕が自分の組織にいて感じていることと同じだなあということ。

 

それは何かというと

「自己受容の先に他者受容がある」

「自分が自分を何者か規定した瞬間に世界が変わる」

「何をやるかよりも、どういう意図でやるか、つまりDoingよりBeingが大事」

 

そして、これから働く日本人にとって凄く示唆に富む内容が書いてあると思う。「日本人らしいリーダーシップ」を考えるきっかけになる。

 

ちょっと多いけど、以下気にいったところの抜粋。

 

(気にいった文章) 

 

 

「働く組織に置いてリーダーと言うときは、肩書きや立場をさすことが多いのですが、リーダーシップは発揮するものであり、行動の形、存在の仕方です。だからみんながリーダーとなりえます。リーダーとフォロワー(ついていく人)の関係もけっして固定されたものではありません。」

 

「神よ、

変えることのできるものについて、

それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。

変えることのできないものについては、

それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、

変えることのできるものと、変えることのできないものとを、

識別する知恵を与えたまえ」(ラインホールド・ニーバーの祈り)

 

「組織がずっと同じルールに基づいて動いていると、メンバーの間で同質化が進んでしまい、新しい発想や視点をもつとか、新しいアプローチをとるといったことができなくなります。特に現代は世の中がグローバル化するとともに多様化していますから、過去において成功したやり方が今では通用しないというケースも多くなりました。だからリーダーシップが必要なのだとよく言われます。このことに本当にピンときている日本人がどれくらいいるかとなると、私は少し疑問も感じるのですが、世界は間違いなくその方向に進んでいます。」

 

「リーダーシップは他人のものではなく、自分のものです。専門家から教わったり本で読んで多少は学ぶことはできても、その人自身が自分で仮説を立てて行動を起こし、継続的に実践し、ときどき立ち止まって振り返ること以外に身につけるすべはなく、高める方法もありません。たくさん本を読んだりセミナーに通ったりしているのにリーダーシップが身につかないという人がいたら、おそらくその人は読書後ないしセミナー参加後に「行動・実践・振り返り」をしていないのではないでしょうか」

 

(リーバイス本社で働きながら)

「日本人らしさを生かすことです。日本人特有の思いやりの深さ、謙虚さ、段取りの良さ、何でも許容する柔軟性といったものが、案外、グローバル企業では付加価値になるのかもしれないと感じたのです。」

 

(いつまでも英語を言い訳に自分を半人前だと感じていることに)

「あるとき、英語が出来ないことを言い訳にしている自分がとても恥ずかしいと思えてきたのです。私はリーバイスの本社で責任あるポストに就いて、世間で言うところのいいお給料をもらっていました。上司や同僚たちも、私に一人前の人間として働いてほしいと期待を寄せているはずでした。

なのに、私自身が、自分の英語が十分でないからといって、ぐずぐずと自分を半人前扱いしていていいのだろうか。私に求められているのは、いつでもどこでもベストを尽くすことではないのだろうか。でないと、周りの人たちに失礼だし、何より自分自身にも不誠実ではないだろうか。そんな気がして、その日を境に、英語を言い訳にするのはもうやめようとすっぱり決めました。

思えば、その日、私は「自分はプロです」と宣言したのです。誰かに公言したのではありません。私は今のままで大丈夫、ありのままでOKなのだから、プロらしく仕事をしなくてはならないと、自分に対して宣言しました。そうすると、次の日から、世界がはっきり変わって見えるようになったのを覚えています。周囲の人たちが私に一目置いてくれ、プロ扱いしてくれるように見えました。これは錯覚でも何でもなくて、私が変わったからだと思うのです」

 

「自分はプロだと宣言し、プロらしく責任をもって行動し、たとえ小さくても何らかのプラスの結果を組織や社会にもたらせば、周囲は自ずとその人をプロとして扱います」

 

「リーダーには、フォロワーに対する認知(リコグニション)が常に求められます。それは、「ほめる」のとは違います。フォロワーがやったことをちゃんと見ていて、それについて自分がどう感じたのかをフォロワーにちゃんと伝えるのが認知です」

 

(ナイキ入社直後、アジア各国を見て回り)

「各カントリーを観察するにあたっては、何はともあれ、謙虚な視点をもとうと心がけました。それは私が組織開発にかかわるときの基本姿勢でもあります。第一章で述べたように、私は組織を見る時、最初に何を維持すべきかを考え、次に何を新しく始めるべきかを考え、最後に何をやめるべきかを考えます。それは、その組織のこれまでの歴史や成果に対する認知がまずありきだと思っているからで、組織の過去を認知したうえで何をして行くかという視点をもてば、メンバーを巻き込みやすくもなるからです。そうではなく、いきなりゴリゴリと新しいことだけをやろうとする変革がしばしば成功しないのは、組織の過去を全否定するような雰囲気が出てしまうからだと思うのです。」

 

「「成果」と「主な役割」を言語化して提示するというのは、私がリーバイス時代から常に意識してやってきたことです。よく社員の職務内容や責任範囲などをジョブ・ディスクリプション(職務記述書)の形で明示する企業がありますけれども、それとは違っていて、そのとき、その組織に、自分が就いている職務がある必要性は何なのか、裏返して言えば、自分がいなかったら会社はどうなるかということを考えて言葉にし、上司に示すのです。それをやることで、上司の私に対する期待値とのすり合せができます。」

 

「洋の東西を問わず、人事部門の役割の中心は一般人事、すなわち日常的な事務処理だと思い込んでいる人はたくさんいます。けれども極論すれば、採用や給与の仕事はアウトソースできます。本来、人事部門が果たすべき最大の役割は、ビジネス部門の戦略パートナーとなって組織力を高め、ビジネスの成果を生み出すことです。」

 

(グローバルリーダーの条件とは)

「グローバルリーダーにはまず専門家としての力が必要です。仕事が超一流であること、自分だけが提供でき、どんな組織でもどこの国でも世界レベルで通用する価値を持っていることが求められます。

人間力も欠かせません。誠実で、己をよく知っており、言ったことは必ずやり遂げる言行一致を貫いてこそ、フォロワーの信頼を得ることができます。」

 

(金井さん)

「リーダーシップは言い出しっぺになることだと私は考えています。」

 

(日本人とリーダーシップ)

「多国籍の役員たちがいる企業の人材プールに日本人がなかなか入ってこない理由のひとつは、「リーダーシップ・アイデンティティ」が欠如しているからだとよく言われます。リーダーシップ・アイデンティティとは、個人がリーダーシップを発揮する際にベースとなるアイデンティティであり、自分は誰なのか、自分が出すインパクトは何なのかがわかっていて、なおかつそれを言語化でき、出したインパクトについて責任が持てるということです。

日本人のリーダーシップ・アイデンティティには日本人らしさも含まれてしかるべきであって、そこが欠けていると、あるがままの自分を受け入れられません。自分を受け入れられない人は、他者も受け入れられないため、多様な価値観が重んじられる組織ではうまくやっていきにくくなります。」

 

(コミュニケーションについて)

「コミュニケーションとは、自分の思いが相手に正確に伝わり、それが相手の具体的な行動につながって、ようやく完結するものだと私は考えています。「これをやってよ」と言うだけでは、コミュニケーションではなく伝言です。相手の行動がゴールだとしたら、自分の意図は相手の腹に落ちる形で発信しなければなりません。こうした言語化の力が無いと、組織はリードできません」

 

「相手に理解しやすい伝え方をするためには、相手のことをよく理解しなくてはなりません。そのためには、自分が話す前にまず相手の話をよく聴くことが不可欠です。読者の方も実際にやっていただくとわかりますが、話す相手を理解しようと努めていると、自分も驚くほど話しやすくなります。「あうんの呼吸」が生まれるのは、そういう努力をお互いがしっかりした結果ではないかと私は思っています。」

 

(意識的にFeelを大事にしていたという話)

「Feelを大事にするのは、職場でもみんな感情を押し殺す必要はないんですよと言いたいからでもあります。成熟した人としてであれば、職場は感情を出していい場所だし、そういう場をつくりたいと思って、自分から率先して「私はこう感じる」と言うようにしています。プライベートで感情を抑えすぎているといつか爆発するように、組織内で抑えられている感情は必ず形を変えて出てきて、組織に悪影響を及ぼし、パフォーマンスを低下させます。ですから、感情表現を悪いことと見なさない雰囲気を組織の中につくった方がよいのです。もっとも、そのためには、個人が客観的に感情を表現できるようになることが必要ですし、組織の側にも、個人の感情を受け止められるだけの成熟が求められますが。」

 

「ご指摘のように、自分の付加価値を言語化して自分を表現することを私はいつも意識しています。多国籍の多様な人たちが集まるチームと一緒に働くようになってからはなおさらそうでした。アメリカにいた頃、あるリーダーシップのセミナーで、「人は存在するだけでは50%生きているとしか言えない。100%生きるためには思い切り自己表現することだ」という言葉を知りました。自分を明確に表現できることはリーダーにとってとても重要です。自分が誰であるか、自分が目指す場所はどこにあるのかを語れてこそ、周囲の人たちを巻き込むことができます。」

 

「私から見て「すごい行動をする敬愛すべき人」は、必ずと言っていいほど自分らしさ全開の人たちです。そう考えると、ロールモデルをもつこととは、その人みたいになろうとすることではなく、もっと自分らしくなることではないかと思うのです」

 

(リーダーの在り方について)

「「今ここ」の瞬間のありのままの自分でいると、自分の魂レベルと感情レベルと思考レベルでいずれもずれがないので、周囲から見ても軸のぶれていないリーダーとなり、職場での判断軸も明らかになってきます。リーダーがありのままでいないと、周囲の人も居心地が悪く感じて、自分のありのままを出しにくくなり、本来もっている力を発揮しづらくなると思います」

 

「リーダーシップを身につけ成長していくためには、今の自分をできるだけ正確に知る「自己理解」と、その自分を受け入れる「自己受容」が欠かせないと私は思っています。この二つがうまくできないと、リーダーとして成長していくのはかなり難しくなります。なぜなら学習の成果(成長度合い)は本人の自覚の大きさに比例するからです

(中略)

自己受容とは、自分をあるがままに受け入れつつ、足りない部分を成長の余地と見て努力すること、そして努力する自分を愛おしく認知しながら成長させていくことです。(中略)リーダーはその瞬間瞬間の自分を謙虚に、かつ誇りをもって見られてこそ、他のメンバーを心から誇りに思えるようになりますから、その方がチーム内の信頼関係は高まります」

 

「上司は三年かかっても部下を見抜けないが、部下は三日で上司を見抜くとよく言われます。上司が自分の足りない部分をいくら隠そうとしても、隠せていると思っているのは本人だけで、周囲の人たちには簡単に気づかれてしまうものです。リーダーシップがうまく成立しているとき、フォロワーはリーダーを完璧な人間だと思ってついていっているのではなく、このリーダーの足りない部分を支えたいだとか、このリーダーのいいところをもっと伸ばしてあげたいと思って、支援しながらついていっています。だからこそ、リーダーは自分の足りない部分を受け入れ、周囲にも見せて、助けを求めたり、感謝しつつ協力を仰いだりして成長努力をすべきなのであって、結局のところ、正確な自己理解と自己受容ができるかどうかの度合いは、その人のリーダーとしての器の大きさを表しているのだと思います」

 

「フィードバックをネガティブな指摘のことだと誤解している人がいますが、それは違います。フィードバックとは、誰かが周囲の人に与えたインパクトがどうだったかということを、周囲の人から本人のさらなる成長のために伝えることです。」

 

「自分が出しているインパクトや自分の存在意義を知ることは、自分がその組織の中にどういうダイナミズムを生んでいるかという視点をもたらしてくれます。自分が生み出すダイナミズムがわかれば、他の人たちが組織において生み出すダイナミズムにも気づくでしょう。そうすると、自分が果たせていない役割を他の人たちが果たしていることがわかり、その人たちに対する感謝の気持ちが自ずとわいてくるに違いありません。」

 

「自己受容は、人を巻き込んでいくプロセスにも欠かせません。なぜなら、自分自身を巻き込めない、その気にさせられない人に、他者を巻き込んで、その気にさせることはできません。「自分を巻き込む」とは、表現を変えれば、自分が心の底から何かを信じて行動できる状態であり、そういうときに、他の人はその人を信じてついていこうという気になるのです。自己受容ができている人は、自分を認め、信じ、許すことができます。そして自信をもちつつ、謙虚に成長を続けます。その度合いの大きさは、そのままリーダーとしての器の大きさとなり、他者を認め、信じ、許し、その成長を支援することにも繋がっていきます。」

 

 

 

リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま (光文社新書)

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